痔瘻痔瘻

おしりの周りから
繰り返しうみが出ます。

痔瘻じろうの症状

痔瘻じろうって
どんな症状?

痔瘻じろうは、細菌によって肛門やその周辺にうみがたまった(肛門周囲膿瘍のうよう)後、うみが自然に出るか、外科治療によってうみを取り除いた後に残るうみの通り道です。
痔瘻じろうは通常痛みはなく、しこりをさわれたり、分泌物が出たり、かゆみを感じるなどが症状です。うみの出口がふさがり、再びうみがたまると、れたり、痛んだり、発熱したりします。

痔瘻じろうを放って
おくとどうなるの?

痔瘻じろうは放置すると、がんになることがあります。

痔瘻じろうの原因

なぜ
痔瘻じろうになるの?

痔瘻じろうの原因となる肛門周囲膿瘍のうようは、肛門と腸のさかいめにある穴(肛門陰窩いんか)に細菌が入り、化膿かのうすることによって発症します。
うみは肛門腺を伝って広がっていき、最終的には肛門の外の皮膚まで到達します。このうみの通り道が痔瘻じろうとなります。痔瘻じろうの原因となる肛門陰窩いんか側の穴を原発口げんぱつこう、皮膚の方にできた穴を二次口にじこうと呼びます。

痔瘻じろう

平田雅彦:あんしん手帖 Q&Aでわかる痔のすべて, 主婦の友社, 東京, p46, 2021

痔瘻じろう
なりやすい人は?

下痢便だと肛門陰窩いんかに細菌が入りやすいため、下痢が続くような人は注意が必要です。また、ストレスや疲労により、免疫力が落ちていると、肛門周囲膿瘍のうようになりやすいといわれています。

痔瘻じろうは肛門周囲膿瘍のうよう以外にも、切れから生じるものやクローン病に合併するもの、結核、HIV感染、膿皮症のうひしょう(肛門周囲に起こる皮膚病)などが関与するものもあります。特にクローン病は、痔瘻じろう以外にもさまざまな肛門の病気の原因になることが多く、注意が必要です。

クローン病が原因の痔瘻じろう
ついての解説はこちら

肛門周囲膿瘍を伴うクローン病患者さんの声肛門周囲膿瘍を伴うクローン病患者さんの声

痔瘻じろうの治療法

痔瘻じろう痔瘻じろうの前段階にある肛門周囲膿瘍のうようも、外科治療が行われます。痔瘻じろうは、自然に治ることはほぼなく、基本的には手術が行われます。主な手術法としては、切開開放術、シートン法、肛門括約筋かつやくきん温存手術があり、痔瘻じろうのタイプに応じて手術が選択されます。肛門周囲膿瘍のうようの治療は、切開・排膿はいのうが原則となります。必要に応じて抗菌薬が投与されることもあります。

痔瘻じろうはどうやって治すの?

①切開開放術

うみの通り道をすべて切り開く手術です。痔瘻じろうはすべて取り除けますが、肛門括約筋かつやくきんを切ることになるため、場合によっては肛門のしまりが悪くなったり、肛門の形が変わってしまったりすることがあります。

②シートン法

うみの通り道にゴム糸を通してしばり、ゴムの力を利用してうみの通り道を切り開く方法です。肛門括約筋かつやくきんへのダメージは切開開放術より少なくなります。治るまで時間がかかり、臭いが気になることもあります。

③肛門括約筋かつやくきん温存手術

肛門括約筋かつやくきんを切ると、肛門の機能に影響が出る可能性があるため、うみの通り道だけをくりぬくように切除する方法です。高度な技術が必要な手術で再発することがまれにあります。

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